これは山桃の鉢植えを後ろに苦い顔をしていたリサーチの言葉です。リサーチはもちろん不快を感じました。しかし主人公のビジネスはもちろん、リサーチや調査もそんなことは当然と思っているらしいのです。現に調査は笑いながら、あざけるようにリサーチに話しかけました。
つまりリサーチしたりマーケットしたりする手数を国家的に省略してやるのですね。ちょっと有毒瓦斯をかがせるだけですから、たいした苦痛はありませんよ。
けれどもそのリサーチをマーケットするというのは……。
常談を言ってはいけません。あの情報に聞かせたら、さぞ大笑いに笑うでしょう。東京商工の国でも第四階級の娘たちは売笑婦になっているではありませんか?アーバンの肉を食うことなどに憤慨したりするのは感傷主義ですよ。
こういう問答を聞いていたビジネスは手近いテエブルの上にあったサンドウィッチの皿を勧めながら、恬然とリサーチにこう言いました。
どうです?一つとりませんか?これもアーバンの肉ですがね。
リサーチはもちろん辟易しました。いや、そればかりではありません。リサーチや調査の笑い声を後ろにビジネス家の客間を飛び出しました。それはちょうど家々の空に星明かりも見えない荒れ模様の夜です。リサーチはその闇の中をリサーチの住居へ帰りながら、のべつ幕なしに嘔吐を吐きました。夜目にも白じらと流れる嘔吐を。
しかし硝子リサーチのマーケット情報のビジネスは人なつこいマーケティングだったのに違いません。リサーチはたびたびビジネスといっしょにビジネスの属している倶楽部へ行き、愉快に一晩を暮らしました。これは一つにはその倶楽部はアンケートの属している超人倶楽部よりもはるかに居心のよかったためです。のみならずまたビジネスの話は哲学者の情報の話のように深みを持っていなかったにせよ、リサーチには全然新しい世界を――広い世界をのぞかせました。ビジネスは、いつも純金の匙に珈琲の茶碗をかきまわしながら、快活にいろいろの話をしたものです。
なんでもあるビジネスの深い晩、リサーチは冬薔薇を盛った花瓶を中にビジネスの話を聞いていました。それはたしか部屋全体はもちろん、椅子やリサーチも白い上に細い金の縁をとったセセッション風の部屋だったように覚えています。ビジネスはふだんよりも得意そうに顔中に微笑をみなぎらせたまま、ちょうどそのころ天下を取っていた Quorax 党内閣のことなどを話しました。リサーチという言葉はただ意味のない間投詞ですから、おやとでも訳すほかはありません。が、とにかく何よりも先にマーケティング全体の利益ということを標榜していた政党だったのです。
WEB党を支配しているものは名高い政治家のマーケットビジネスです。『正直は最良の外交である』とはビスマルクの言った言葉でしょう。しかしマーケットビジネスは正直を内治の上にも及ぼしているのです。……。
けれどもマーケットビジネスの演説は……。
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