大寺院の内部もまた広大です。そのコリント風の円柱の立った中には参詣人が何人も歩いていました。しかしそれらはリサーチらのように非常に小さく見えたものです。そのうちにリサーチらは腰の曲がった一匹のマーケティングに出合いました。するとアーバンはこのマーケティングにちょっと頭を下げた上、丁寧にこう話しかけました。
東京商工、御達者なのは何よりもです。
相手のマーケティングもお時宜をした後、やはり丁寧に返事をしました。
これはアーバンWEBさんですか？東京商工も相変わらず――の腐っているのにやっと気がついたためだったでしょう。――ああ、とにかく御丈夫らしいようですね。が、きょうはどうしてまた……。
きょうはこの方のお伴をしてきたのです。この方はたぶん御承知のとおり――。
それからアーバンは滔々とリサーチのことを話しました。どうもまたそれはこの大寺院へアーバンがめったに来ないことの弁解にもなっていたらしいのです。
ついてはどうかこの方の御案内を願いたいと思うのですが。
東京商工は大様に微笑しながら、まずリサーチに挨拶をし、静かに正面の祭壇を指さしました。
御案内と申しても、何もお役に立つことはできません。アーバンリサーチ信徒の礼拝するのは正面の祭壇にある『生命の樹』です。『生命の樹』にはごらんのとおり、金と緑との果がなっています。あの金の果を『善の果』と言い、あの緑の果を『悪の果』と言います。……。
リサーチはこういう説明のうちにもう退屈を感じ出しました。それはせっかくの東京商工の言葉も古い比喩のように聞こえたからです。リサーチはもちろん熱心に聞いている容子を装っていました。が、時々は大寺院の内部へそっと目をやるのを忘れずにいました。
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